「時間が足りない」が、いちばんの悩みではありませんか
仕事を終えて家に帰り、求人サイトを開いてはみるものの、応募書類を作る気力が残っていない。そんな夜を過ごしていませんか。
在職中の転職活動は、退職してから動く転職活動とはまったく別物です。日中は目の前の仕事に追われ、面接の連絡はメールで来ても、返信できるのは深夜になってから。有給休暇を使おうにも、頻繁に休めば周囲に勘づかれそうで気が引ける。「今のやり方で本当に間に合うのか」という焦りだけが、じわじわ積み重なっていく。
そのしんどさは、あなたの計画性が足りないからではありません。在職中の転職活動は、そもそも「時間との戦い」を前提にした難易度の高い活動なのです。私自身、キャリアコンサルタントとして相談を受ける中で、「毎晩1時間だけ求人を眺めて、結局何も進まないまま数週間が過ぎてしまった」という声を数えきれないほど聞いてきました。
焦って動けないのではなく、動くための「型」をまだ持っていないだけです。
在職中の転職活動が長引く本当の理由
転職活動全体の期間は、一般的に3ヶ月から半年程度が目安とされています。ただしこれは離職中の人も含めた平均であり、在職中の場合は準備段階に時間がかかりやすく、応募先探しや円満退職の調整に半年以上かかる人も珍しくありません。
なぜ在職中だと長引きやすいのか。理由はシンプルで、「転職活動用の時間」がカレンダー上にあらかじめ確保されていないからです。離職中であれば1日8時間を転職活動に充てられますが、在職中はその時間がまるごと今の仕事に使われています。転職活動は、隙間時間に無理やり押し込む形にならざるを得ません。
多くの方がここでつまずくのは、「隙間時間にやる気になったらやる」という進め方をしてしまうことです。やる気は毎日安定して湧くものではありません。仕事で疲れた日は当然、後回しになります。そしてその「後回し」が積み重なった結果、気づけば数ヶ月が経ち、「このままでいいのか」という漠然とした不安だけが残る。これが、在職中の転職活動が長引く最大の構造的な原因です。
在職中の転職活動を左右するのは、やる気の量ではなく、あらかじめ時間を確保できているかどうかです。
具体的なスケジュールの組み方
①まず「いつまでに」を決める
ゴールのない活動は、どうしても間延びします。「〇月末までに内定を得る」「ボーナスをもらってから動く」など、自分なりの期限を最初に決めてください。1年を通じて求人が動きやすいのは1〜3月と9〜10月といわれています。この時期に内定を得たいなら、その2〜3ヶ月前から準備を始めるイメージで逆算しましょう。たとえば春の採用を狙うなら12〜1月ごろから、秋の採用を狙うなら6〜7月ごろから動き出すと無理がありません。
②活動を「準備」「応募」「面接」の3段階に分けて考える
在職中は全部を同時並行しようとすると必ずパンクします。最初の2〜3週間は自己分析と職務経歴書づくりの「準備」期間、次の数週間は求人検索と応募を続ける「応募」期間、内定に近づくにつれて「面接」対応が増えていく、という大まかな流れをイメージしておくと、今どの段階にいるのか見失わずに済みます。
③週単位で「固定の時間」を決めてしまう
「時間があるときにやる」をやめて、「毎週火曜と木曜の21時から1時間」のように、あらかじめ枠を固定してしまうのが一番続きます。予定を先に押さえてしまえば、その時間は「転職活動をする時間」として自動的に確保されます。通勤時間はスマホで求人チェックとエージェントとのやり取り、週末のまとまった時間は書類作成、というように、時間の性質によって作業内容を分けるのも効果的です。
④面接の日程調整は、遠慮せず候補を複数出す
面接のたびに「休みを取っていいのだろうか」と悩む方は多いですが、企業側も在職中の応募者を前提にしているケースがほとんどです。19時以降や早朝、オンライン面接にも比較的慣れている企業が増えています。日程調整の際は、候補日をこちらから2〜3個まとめて提示すると、やり取りの往復が減り、結果的にスケジュール全体の負担も軽くなります。半日単位の有給を使い、午前か午後どちらかに面接を集中させると、一日をまるごと使わずに済むという工夫も有効です。
⑤有給を使う理由は「私用」で十分
有給休暇の理由を細かく説明する義務はありません。「私用のため」で問題なく、聞かれた場合も「平日にしか対応できない手続きがあって」程度で十分です。ここで罪悪感を持ちすぎる必要はありません。在職中に次のキャリアを考えることは、決して後ろめたいことではないからです。
スケジュールは気合いで守るものではなく、最初から仕組みで守るものです。
よくあるつまずき方
- 「まとまった時間ができたら本気で取り組もう」と考え、結局その時間が永遠に来ない
- 応募だけを続けて、面接の準備や条件の整理を後回しにしてしまい、いざ面接が決まると準備不足で焦る
- 転職エージェントからの連絡を後回しにして返信が遅れ、良い求人のタイミングを逃してしまう
どれも、忙しい中で頑張っているからこそ起きるつまずきです。特別に意志の弱い人が陥るわけではなく、「時間を確保する仕組み」がないまま走り出すと、誰にでも起こり得ることだと私は考えています。
今日からできること
大きく生活を変える必要はありません。まずは次の3つから始めてみてください。
- 来週のカレンダーに、転職活動専用の時間を2枠だけ仮で入れてみる
- 自分なりの「いつまでに動きたいか」を、紙でもスマホのメモでもいいので1行書き出してみる
- 面接の日程調整を頼まれたときのために、対応できそうな曜日・時間帯をあらかじめ考えておく
いきなり完璧な計画を立てる必要はありません。まずは「時間を先に確保する」という感覚をつかむことが、遠回りに見えて一番の近道です。
まとめ
在職中の転職活動が長引くのは、やる気や能力の問題ではなく、時間があらかじめ確保されていないことがほとんどです。ゴールから逆算して期限を決め、活動を段階に分け、週単位で固定の時間を押さえる。面接の日程調整も、遠慮せず候補を複数提示すれば、思っているよりスムーズに進みます。
私自身も在職中に転職活動をしていた時期、平日の夜にカフェで履歴書を書き、休憩時間にこっそり求人を確認する日々を送っていました。それでも、時間を先に決めてしまうようにしてから、驚くほど活動がはかどるようになった実感があります。焦らなくて大丈夫です。まずは来週の予定に、小さな枠をひとつ入れることから始めてみてください。